スサノオとは

スサノオとは:素戔嗚尊とは

スサノオとは、「素戔嗚尊」や「須佐之男」とも書かれる、男神です。スサノオと言えば、八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した、日本神話の中のスーパーヒーローとして有名な神様なので、一度は聞いたことのある方も多いかもしれません。

スサノオは、日本神話の天地開闢のときに生まれた「神世七代(かみよななよ、かみのよななよ)」の一人である「伊邪那岐(いざなぎ)」から生まれた立派な経歴の持ち主で、子孫にも多くの有名な神様がいます。その華々しい系譜から、スサノオは、偉大な神様として崇められており、農耕生産や豊作の神としてだけでなく、山の神・海の神の祖神(おやがみ)としても崇拝されています。

スサノオとは:スサノオの神話や誕生

スサノオとは、『古事記』の神話の中では、次のように記されています。

  1. 伊邪那岐(いざなぎ)の禊(みそぎ)によって生まれた三貴子の一神として、天照(あまてらす)と月読(つくよみ)と共に誕生
  2. 妻は、稲田姫命(いなだひめ)と、大市姫命(おおいちひめ)
  3. 子供は、宇迦之御魂神(うかのみたま)、大年神(おおとしのかみ)、五十猛命(いそたける)、宗像三神(むなかたさんしん)など
  4. 大国主命(おおくにぬし)は、スサノオの5代のちの孫

なお、『日本書紀』では、大国主命は、スサノオの息子として描かれています。

神話の中のスサノオは、「諸悪の元祖」と「英雄」という、2つの側面をもつ神様として描かれています。「諸悪の元相」としては、次のような逸話があります。

  • 父神である伊邪那岐(いざなぎ)に反抗する
  • 高天原(たかまがはら)で乱暴狼藉を働いて、天照大神を天岩戸に隠れさせた
  • 高天原での罪の償いとして、ヒゲと手足の爪を抜かれて、高天原から追放された

「英雄」としての逸話は、高天原を追放されて、出雲に降った後の話で、次のようなものがあります。

  • 怪物の八岐大蛇を退治して、稲田姫命を助けた英雄神

なお、八岐大蛇を退治した伝説は、豊穣の儀式を表現しており、怪物として描かれている八岐大蛇は「自然の驚異」を表し、姫として描かれた稲田姫は「自然の力を制御して実現する美しい豊穣の稲田」を象徴しています。

以上のような神話の伝承により、スサノオは、悪の元祖でありながら、農耕生産を守護する英雄の顔も持つ神としてなっており、その相反する複雑な性格により、神話の中でもひと際目を引く人気者になっているわけです。

スサノオとは:スサノオ神社とご利益

スサノオは、日本神話の神様としてだけでなく、仏教系の「牛頭天王(ごずてんのう)」と同一神とされているため、仏教系の寺院でも祀られています。

「牛頭天王」とは、疾病除けの神で、インドの祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の守護神であり、さらには、新羅(しらぎ)の牛頭山の神でもあり、仏教系の寺院で「牛頭天王」や「天王さま」として祀られています。

「牛頭天王」は、「蘇民将来」という民間伝承の中で、蘇民将来の家に泊まった神様として描かれているが、奈良時代初期に編纂された「備後国風土記」逸文の「蘇民将来」の中では、泊まった神様はスサノオとなっています。そのため、「牛頭天王(ごずてんのう)」はスサノオと結び付けられ、同一神となったわけです。

スサノオを祭神として祀る神社は、全国の次のような名のつく神社です。

  • 八坂(弥栄、祇園)
    • 八坂神社:京都府京都市東山区。全国にある八坂神社やスサノオを祭神とする約2,300の関連神社の総本社と主張している神社。
  • 津島(天王)
    • 津島神社:愛知県津島市神明町。津島信仰の総本社。
  • 氷川(ひかわ)
    • 氷川神社:埼玉県さいたま市大宮区高鼻町。東京・埼玉の荒川流域を中心に広まった氷川信仰の神社であり、約280社ある氷川神社の総本社であるため「大宮氷川神社」とも呼ばれる。

全国の八坂・津島系神社だけでも2,651社あるため、スサノオは、私たちにとって身近な神様です。また、他にスサノオを祀っている神社としては、スサノオや牛頭天王を祀っている全国の「素盞嗚神社(スサノオ神社)」や、その他にも、次のような神社があります。

  • 日御碕神社(ひのみさきじんじゃ):島根県出雲市。出雲大社の「祖神(おやがみ)さま」として親しまれている神社。「日沈の宮」の祭神が天照大神、「神の宮」の祭神がスサノオ。
  • 須佐神社:島根県出雲市。

スサノオの神徳やご利益は、次のようになっています。

  • 水難・火難・病難除去
  • 商売繁盛
  • 五穀豊穣

水難・火難・病難除去については、疾病除けの神である「牛頭天王」に由来するご利益です。

また、この他のご利益として、「文学・学問上達」や「縁結び」のご利益もありますが、このご利益は、スサノオが稲田姫との新婚の宮をつくったときに詠んだ歌である「八雲立つ 出雲八重垣、妻ごみに 八重垣作る その八重垣を」の歌にちなんだご利益です。

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