スサノオとは:素戔嗚尊とは
スサノオとは、「素戔嗚尊」や「須佐之男」とも書かれる、男神です。スサノオと言えば、八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した、日本神話の中のスーパーヒーローとして有名な神様なので、一度は聞いたことのある方も多いかもしれません。
スサノオは、日本神話の天地開闢のときに生まれた「神世七代(かみよななよ、かみのよななよ)」の一人である「伊邪那岐(いざなぎ)」から生まれた立派な経歴の持ち主で、子孫にも多くの有名な神様がいます。その華々しい系譜から、スサノオは、偉大な神様として崇められており、農耕生産や豊作の神としてだけでなく、山の神・海の神の祖神(おやがみ)としても崇拝されています。
スサノオとは:スサノオの神話や誕生
スサノオとは、『古事記』の神話の中では、次のように記されています。
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なお、『日本書紀』では、大国主命は、スサノオの息子として描かれています。
神話の中のスサノオは、「諸悪の元祖」と「英雄」という、2つの側面をもつ神様として描かれています。「諸悪の元相」としては、次のような逸話があります。
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「英雄」としての逸話は、高天原を追放されて、出雲に降った後の話で、次のようなものがあります。
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なお、八岐大蛇を退治した伝説は、豊穣の儀式を表現しており、怪物として描かれている八岐大蛇は「自然の驚異」を表し、姫として描かれた稲田姫は「自然の力を制御して実現する美しい豊穣の稲田」を象徴しています。
以上のような神話の伝承により、スサノオは、悪の元祖でありながら、農耕生産を守護する英雄の顔も持つ神としてなっており、その相反する複雑な性格により、神話の中でもひと際目を引く人気者になっているわけです。
スサノオとは:スサノオ神社とご利益
スサノオは、日本神話の神様としてだけでなく、仏教系の「牛頭天王(ごずてんのう)」と同一神とされているため、仏教系の寺院でも祀られています。
「牛頭天王」とは、疾病除けの神で、インドの祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の守護神であり、さらには、新羅(しらぎ)の牛頭山の神でもあり、仏教系の寺院で「牛頭天王」や「天王さま」として祀られています。
「牛頭天王」は、「蘇民将来」という民間伝承の中で、蘇民将来の家に泊まった神様として描かれているが、奈良時代初期に編纂された「備後国風土記」逸文の「蘇民将来」の中では、泊まった神様はスサノオとなっています。そのため、「牛頭天王(ごずてんのう)」はスサノオと結び付けられ、同一神となったわけです。
スサノオを祭神として祀る神社は、全国の次のような名のつく神社です。
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全国の八坂・津島系神社だけでも2,651社あるため、スサノオは、私たちにとって身近な神様です。また、他にスサノオを祀っている神社としては、スサノオや牛頭天王を祀っている全国の「素盞嗚神社(スサノオ神社)」や、その他にも、次のような神社があります。
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スサノオの神徳やご利益は、次のようになっています。
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水難・火難・病難除去については、疾病除けの神である「牛頭天王」に由来するご利益です。
また、この他のご利益として、「文学・学問上達」や「縁結び」のご利益もありますが、このご利益は、スサノオが稲田姫との新婚の宮をつくったときに詠んだ歌である「八雲立つ 出雲八重垣、妻ごみに 八重垣作る その八重垣を」の歌にちなんだご利益です。