神武東征とは
神武東征とは、神武天皇が日向国（現在の宮崎県）を出発し、大和（奈良）で朝廷を築くまでの物語です。
神武東征は、次の３つに大きく分けることができます。
| １．日向国（宮崎）～熊野村（和歌山） ２．熊野村（和歌山）～阿陀（奈良） ３．宇陀（奈良）～橿原（奈良） |
神武東征で、神武天皇は、兄３人と別れがあり、助力を得て熊野・吉野の山間部を抜け、最後に奈良で豪族を倒しながら、都を開きます。
神武東征のルート１．日向国（宮崎）～熊野村（和歌山）
神武東征のはじめのルートは、宮崎から瀬戸内海を抜けて、海路で大阪湾に入ります。
そのまま、陸路で奈良の生駒山を超えて西側の陸路より大和国に入ろうとしますが、そこで時ともの豪族に抵抗に合ってしまいます。
仕方なく、神武天皇は、海路で和歌山の南まで下り、南側の陸路より攻め込むことになります。そして大阪から和歌山までの道中で、４人兄弟の神武天皇の兄３人はいなくなってしまいます。
| １．４人兄弟の末弟である神武天皇は、長兄の五瀬命（イツセ）と相談し、東で都を開くことにした ２．宇佐（大分県宇佐市）などを通過し、１年、７年、８年と各地に滞在 ３．豊予海峡（九州と四国の間）で、サオツネヒコに海を案内してもらう ４．白肩津（大阪府東大阪市）の港から、陸路で大和国（奈良県）へ ５．大和国の登美（奈良県奈良市）で長髄彦（ナガスネヒコ）の抵抗に遭い、引き返す ６．海路を南下し、南側から大和国へ攻め込むことに ７．神武天皇の４人兄弟の長兄である五瀬命（イツセ）が、長髄彦の矢が原因で亡くなる ８．神武天皇の４人兄弟の次兄である稲飯命（イナヒ）が、暴風雨にあったとき、剣を抜いて入水する ９．神武天皇の４人兄弟の三兄である三毛入野命（ミケヌ）が、暴風雨にあったとき、波頭を踏んで常世の国へ行く １０．熊野村（和歌山県新宮市付近）に上陸 |
結局、現世に残ったのは神武天皇のみになり、兄たちの犠牲の霊力を元にして、大和国へ向かうことになります。
神武東征のルート２．熊野村（和歌山）～阿陀（奈良）
神武東征の熊野村（和歌山）から阿陀（奈良）までのルートでは、有名な「布都御魂（フツノミタマ）」と「八咫烏（ヤタガラス）」が出てきます。
| １．熊野で、神武天皇の軍は、邪神（賊）の毒気に当てられて気を失う ２．高倉下（タカクラジ）が霊剣「布都御魂（フツノミタマ）」を持ってくる ３．皆が目を覚まし、敵を倒す ４．八咫烏（ヤタガラス）に案内され、吉野川の下流の阿陀（奈良県東五条市東部）に付く ５．贄持之子（ニエモツノコ）・井氷鹿（イヒカ）・石押分之子（イワオシワクノコ）が仲間になる |
神武天皇は何度も窮地に陥りますが、助けを得ながら、吉野の山を超えていきました。
神武東征のルート３．宇陀（奈良）～橿原（奈良）
神武東征の宇陀から橿原のルートでは、兄宇迦斯（エウカシ）・長髄彦（ナガスネヒコ）との戦いがあります。
その後、橿原で、天皇として即位します。
| １．宇陀（奈良県宇陀市菟田野宇賀志）の穿村で、兄宇迦斯（エウカシ）と弟宇迦斯（オトウカシ）の兄弟が罠を張って待ち受けていた ２．弟宇迦斯は、神武天皇に兄の計画を打ち明け、兄宇迦斯を成敗する ３．長兄である五瀬命（イツセ）の敵である、長髄彦（ナガスネヒコ）と戦う ４．長髄彦の主である饒速日命（ニギハヤヒ）が長髄彦を討ち、神武天皇に仕える ５．畝傍（うねび）の橿原宮（かしはらのみや）で、天下を治める |
なお、初代神武天皇が即位したのは、辛酉（かのととり）の年の正月朔日（ついたち）で、今の暦でいうと２月１１日になります。そのため現在でも、２月１１日は「建国記念の日」として祝日になっています。